コーヒーという情熱

コーヒーの未来を考える

2025.04.15

サステナビリティ

「コーヒーの2050年問題」を“3つのKEYワード”で知る

「コーヒーの2050年問題」を「アラビカ種コーヒー」「気候変動による具体的な影響」「コーヒーの需要と供給バランス」という3つので観点紹介します。
 
 

 

 

 コーヒーは世界中で愛される飲み物ですが、2050年にはその供給が危ぶまれるという「コーヒーの2050年問題」に直面しています。この問題は、地球温暖化などの気候変動が主な原因であり、コーヒーの生産量や品質に深刻な影響を与えています。特に、コーヒーの中でも風味が豊かで品質に優れるアラビカ種のコーヒーが気候変動の影響を受けやすいことから、将来的に“おいしいコーヒーが飲めなくなるのでは?”と言われているのです。
当社は、この問題が2015年のミラノ万博で提唱された翌年から、さまざまな取り組みを行っていますが、ここでは「コーヒーの2050年問題」についてより深く理解するために、「アラビカ種コーヒー」「気候変動による具体的な影響」「コーヒーの需要と供給バランス」とう3つの観点から、「コーヒーの2050年問題」がもたらす影響について紹介します

 

 

 

 

高品質だけど気候変動の影響を受けやすい~アラビカ種コーヒー~

 


 

 コーヒーは、大きく分けて「アラビカ種」と「ロブスタ種」の2つの品種に分類されます。そのうち、私たちが普段よくレギュラーコーヒーとして飲んでいるのはアラビカ種のコーヒー。フルーティで複雑な甘みや酸味、フローラルな香りと、優れた品質が特徴。主にブレンドコーヒーの味づくりに使用されたり、シングルオリジンとして飲用されることが多く、世界の生産量の約6割を占めます。一方で、非常に繊細な作物であることから栽培環境が限られており、標高1,000~2,000m、平均気温15~24℃、降水量1,500~2,000mmといった条件が必要。高温多湿の環境に弱く、また低温(霜害)や乾燥、病害虫にも弱いことから気候変動の影響を受けやすい品種といわれています。

 

 

 

 

 

栽培環境の変化は品質や生産量にも影響~気候変動による具体的な影響~

 


 

 地球温暖化などの気候変動は、気温の上昇だけではなく湿度や降雨量の変化を引き起こし、アラビカ種コーヒー生産地に大きな影響を与えます。さび病や虫食いといった病害虫の被害や干ばつなどが発生することで、コーヒーの品質低下や生産量の減少を引き起こし、2050年までにはアラビカ種コーヒーの栽培に適した土地が、1950年~2000年の平均値と比較して半減するといわれています。

 このような品質低下や生産量の減少は、コーヒー生産者にも影響を与えます。持続的なコーヒー生産ができなくなることは、生産者の収入減に直結し、コーヒー生産者の栽培放棄にもつながると懸念されているのです。

 

 

 

2015年に左図のよう分類されていた地域が、気候変動によって2050年には右図のように変わり、グレーの「生産不適」の土地が50%になるというシミュレーション。地球上のすべてのコーヒー生産地が同程度に影響を受けるわけではなく、生産国により影響度は異なります。

 

 

 

 

 

➂世界で広がる、コーヒーの人気~コーヒーの需要と供給バランス~

 


 

 コーヒー生産地や生産者への影響が懸念される一方で、世界中のコーヒー消費量は年々増加傾向にあります。近年では、新興国の経済成長と合わせて、ライフスタイルの多様化によりコーヒーを楽しむ習慣や人が増え続けています。将来的に、需要が供給を上回ることになれば、さらなるコーヒーの価格高騰が発生すると同時に、長期的な供給不足が起こる可能性も高まります。

 

 

 

 

 

 

 今回は、「コーヒーの2050年問題」と懸念される影響について、「アラビカ種コーヒー」「気候変動による具体的な影響」「コーヒーの需要と供給バランス」といった3つの観点から紹介しました。 

 当社では、「コーヒーの2050年問題」が提唱された翌年2016年からこの問題へ対応を開始。現在では、コーヒー生産に関するサステナブル活動を推進する専門部署「コーヒーの未来部」が中心となり、さまざまな活動を行っています。当社の活動が、コーヒーを愛する多くの人に伝わり、一杯のコーヒーを飲むとき“コーヒーの未来”について考えるきっかけになれば幸いです。

 

 

 

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